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アメリカ型の鉄道模型を楽しんでいる記録です

数学

ユニバーサルジョイントの正しい使い方 - 目次

長々と続けてきた、ユニバーサルジョイントの正しい使い方のシリーズの目次をこちらに用意しておきます。今読み返すと書き足りないと思うこともありますが、追々直してゆきたいと思っています。またグラフの表示のプラグインの改訂により、当初の表示が乱れ…

ユニバーサルジョイントの使い方(30)ーまとめ(修正版)

4回前の記事でまとめをしてこのシリーズは完結するはずでしたが、考慮すべき事ができ、3回ほど記事を続けました。今回がたぶん本当のまとめになると思います。前回のまとめと重複する部分がほとんどですが、このシリーズで考察してきた事を、改めて以下にま…

ユニバーサルジョイントの使い方(29)ーMPギアの左右の角速度の比についてのまとめ

前回、前々回と、MPギアのような駆動系でモーターの左右にユニバーサルジョイントで動力を伝道する場合に、モーターに取り付けるユニバーサルジョイントの位相が揃っていないと(\(\Delta\neq 0\))、左右のユニバーサルジョイントの最終伝達面の角速度が異な…

ユニバーサルジョイントの使い方(28)ーMPギアの左右の角速度の比を計算する

前回の記事で、モーターの左右に取り付けるユニバーサルジョイントに関し、その取り付け部分の位相\(\Delta\)を揃えておかないと、左右のユニバーサルジョイントの最終的な角速度に差が出ることを示しました。 実際にどれくらいの差が出るかを、以前解析に用…

ユニバーサルジョイントの使い方(27)ーMPギアの左右の角速度の差について

前回のまとめの投稿で、本質的に書くべきことはすべて網羅したと大見えを切りましたが、マーフィーの法則よろしく、一つ重要なことを見落としていたことに気づきました。 MPギアの解析の際に、「左右対称なので、同じ条件で解析できる」ということを述べまし…

ユニバーサルジョイントの使い方(26) – まとめ

この投稿は、加筆修正いたしましたので、こちらをご覧になってください。 長々と続けてきたシリーズ、書き足りないこともあるとは思っていますが、本質的に書くべきことはすべて網羅したと考えていますので、今回でいったん区切りをつけることとします。 こ…

ユニバーサルジョイントの使い方(25) – 3つの軸が同一平面に存在しない場合の角速度の変動(Shayの場合)

前々回、前回と、ユニバーサルジョイントの3つの軸が同一平面に存在しない場合を仮定して、角速度がどのように変動するかの具体例をMPギアを例として計算してみました。今回はこれをShayの場合で考察してみます。解析の対象としたのは、前に紹介したGreenbri…

ユニバーサルジョイントの使い方(24) – 3つの軸が同一平面に存在しない場合の角速度の変動(MPギアの場合-モーターの左右のジョイントの角速度の変動の解析)

前回は、3つの軸が同一平面に存在しない場合の角速度の変動を、MPギアの場合を例にとってまとめました。MPギアは、車体の中心で左右対称という構成となっていますので、モーターの左右にあるユニバーサルジョイントは同じ挙動を示すであろうということが想像…

ユニバーサルジョイントの使い方(23) – 3つの軸が同一平面に存在しない場合の角速度の変動(MPギアの場合)

ユニバーサルジョイントの3つの軸が平面にない場合の角速度の変動を前回求めました。簡単におさらいすると、3つの軸が同一平面上にあり、駆動面の角速度を\(\omega\)としたときの最終伝達面の角速度 \(\frac{d\xi}{dt}= \frac{\omega\cdot cos(\alpha)\cdot …

ユニバーサルジョイントの使い方(22) – 2つのベクトルのなす角と外積とを使って解析に必要な角度を求める

2020/8/30追記。 Tavataさんにいただいたコメントを参考に追記しました。 前回説明した2つのベクトルのなす角度および外積を利用し、3つの軸が同一平面上にないユニバーサルジョイントの解析に必要となる\(\alpha\)、\(\beta\)、\(\eta\)の計算方法を考察し…

ユニバーサルジョイントの使い方(21) – 2つのベクトルのなす角度と外積

ユニバーサルジョイントの3つの軸が同一平面上にない場合の解析の基本的考え方を前回明らかにしました。3つの軸が同一平面上にある場合は、作図によって角度等の関係の式を簡単かつ直感的に求めることができますが、そうでない場合は、3次元空間で軸の位置…

ユニバーサルジョイントの使い方(20) – 3つの軸が同一平面に存在しない場合を考える

気がつくとこのシリーズ20回目の記事です。よくもまぁここまで続けられるものだと我ながらあきれてしまいます。Shayの解析のあたりからは個人的興味で続けているところがありますので、万人にアピールする内容ではないと思いますが、よろしければ引き続きお…

ユニバーサルジョイントの使い方(19) – 阿里山のShayのαとβとの具体的な数値をあてはめる

前回の記事の最後に、阿里山のShayがどの程度の角速度の変動があるのかを確認したいと述べていましたが、⼤変ありがたいことに、内⽥利次⽒、近藤⼀郎⽒より計算に必要な図面をご提供いただくことができました。御二⽅にはここに深く御礼申し上げます。あり…

ユニバーサルジョイントの使い方(18) – Shayのαとβとの具体的な数値をあてはめる

さて、前回の議論で、Shayの場合に\(\alpha\)と\(\beta\)との求め方を明らかにしましたので、MPギアの場合と同様に、駆動面に対する最終伝達面の角速度の変化を見てみたいと思います。 模型の寸法で議論ができればよいのでしょうが、MPギアのように標準的に…

ユニバーサルジョイントの使い方(17) – Shayの場合のαとβとの関係を考える

このシリーズを延々続けているのは、Shayのユニバーサルジョイントの角速度の変化を解析したかったからでした。ということで、Shayの場合の\(\alpha\)と\(\beta\)とを求めてみます。 求め方はMPギアの場合に準じますが、MPギアの駆動軸が車体の中心に位置す…

ユニバーサルジョイントの使い方(16) – MPギアを例に |α|≠|β|の場合の具体的な数値を当てはめる

前回の議論で、MPギアに代表されるような、模型で一般的に使われる伝動機構での\(\alpha\)と\(\beta\)との関係を求めました。復習すると、下のような円弧上の曲線を走行している車両があった場合、 \(\alpha\)、\(\beta\)は、\(l_1\)、\(l_2\)、\(w\)、\(r\)…

ユニバーサルジョイントの使い方(15) – αとβとの関係の一例を考える

随分と間が空いてしまいました。きわめて忙しかったこともあるのですが、この2回後に書きたいと思っている内容をうまくまとめることできず、考え込んでいたのもあります。もう忘れ去られているかもしれませんが、これまでの議論の続きを行います。 前回は\(|…

ユニバーサルジョイントの使い方(14) – α=βとなる条件を改めて考える

このシリーズは5~6回で終わるつもりにしていました。が、書いておいた方がよいかと思うことは次々に出てくるもので、前回まで引っ張り、ようやくおしまいと思っていたところ、またまたネタが出てきたので、あと数回続きます。ここまでの詳細な議論に興味の…

ユニバーサルジョイントの使い方(13) - 具体的な数値をあてはめてみる

長々と多くの式を並べてきましたが、ユニバーサルジョイントの基準点の角度や角速度がどの程度異なってくるのかを、いくつかの数字を入れてグラフで見てみたいと思います。 ここでは、ジョイントを2度から14度まで2度ずつ変化させて見ます。2つのジョイント…

ユニバーサルジョイントの使い方(12) - ユニバーサルジョイントを2つ組み合わせた際の角速度を計算する

2つのユニバーサルジョイントを組み合わせたときに、最終伝達面の基準点の角度\(\xi\)は、駆動面の駆動点の角度\(\theta = \omega t\)を用いて次の式となるのでした。 \(\xi=tan^{-1}(\frac{sin(\delta)+tan(\omega t)\cdot cos(\delta)\cdot cos(\alpha)}{c…

ユニバーサルジョイントの使い方(11) - 角速度を計算する

もともは、「ユニバーサルジョイントを正しく使わないと、動力側と伝達した側とで角速度が異なる」ということからスタートしましたので、ここでは角速度の式を導出してみたいと思います。角速度は、時間によって変化する角度を時間で微分すれば得ることがで…

ユニバーサルジョイントの使い方(10) - 簡易型ユニバーサルジョイントを正規型ユニバーサルジョイントと比較する

さて、正規型ユニバーサルジョイントを2つ組み合わせたときの(\theta)と(\xi)との関係は、 (tan(\xi)=\frac{sin(\delta)+tan(\theta)\cdot cos(\delta)\cdot cos(\alpha)}{cos(\delta)-tan(\theta)\cdot sin(\delta)\cdot cos(\alpha)}\cdot \frac{1}{cos(\…

ユニバーサルジョイントの使い方(9) - 簡易型ユニバーサルジョイントを2つ組み合わせる

簡易型ユニバーサルジョイントを2つ組み合わせた場合の解析を行います。正規型ユニバーサルジョイントを2つ組み合わせた図と同様のものを下記に示します。 前回の議論から、駆動面(赤の円)を移動する基準点の(x)軸に対する角度(\theta)と、伝達面(青の楕…

ユニバーサルジョイントの使い方(8) - 簡易型ユニバーサルジョイントの解析

これまで議論してきたユニバーサルジョイントとは異なり、模型では下図のように構成を簡素化したユニバーサルジョイントが使われることが多くあります。ここでは、これまで議論してきたものを正規型ユニバーサルジョイントと、簡素化したものを簡易型ユニバ…

ユニバーサルジョイントの使い方(7) - 作図で理解する

大学の一般教養課程で、「図学」を学びました。3次元空間の物体の幾何学的な関係についての問題を2次元の紙の上に表現して解く、と言えばよいのでしょうか。白状すると、「とりあえず単位はもらいました」程度の成績だったのですが、その理由の一つは「解こ…

ユニバーサルジョイントの使い方 (6)ー2つのジョイントを組み合わせる

次に、2つのユニバーサルジョイントを組み合わせる事を考えます。 まず、前回の議論で、駆動面に対し伝達面が(\alpha)だけ傾いている場合、駆動面を回転する基準点の(x)軸に対する角度({\theta})と、伝達面を回転する基準点の(x)軸に対する角度({\varphi})…

ユニバーサルジョイントの使い方 (5)ー基準点のなす角度の関係を求める

数学でベクトルという概念があり、その基本的な性質の一つが、「直交する2つのベクトルの内積は0になる」というものです。わかりやすく言うと、原点*1から、座標*2を結んだ線と、原点*3から、座標*4を結んだ線とが直交する、つまり90度で交わる場合、(x \cdo…

ユニバーサルジョイントの使い方 (4)ー基準点の座標を求める

ユニバーサルジョイントを構成する十字型の部品の2つの軸の先端がどこを動くか、を示したのが次の図となります。ここで、十字型の部品の中心、つまり、2つの軸が交差する点を原点*1とします。また、水平面上(赤い円)を移動する軸に取り付けられたフォーク…

ユニバーサルジョイントの使い方 (3)ー三角関数の復習

念のため、今回の議論に必要となる最低限の三角関数の復習をしておきます。 原点\*1\)となります。 また、\(sin(\theta)\)を\(cos(\theta)\)で割った値を\(tan(\theta)\)と呼びます。つまり、 \(tan(\theta)=\frac{sin(\theta)}{cos(\theta)}\) です。 角度…

ユニバーサルジョイントの使い方 (2)ー 折れ曲がった軸が回転するとはどういうことか

2つの軸が斜めに接続されて回転するということは、そもそもどういうことかということを考えてみたのが下の図です。 2つの軸は緑色の斜めの線で示した面で接します。2つの赤い矢印の位置を絶えず一致するようにすれば、2つの軸は同じ速度で回転することにな…