仕事で外出の帰り途に新宿駅西口を通ったら、「土木コレクション2014 HANDS+EYES」という展示会が目に留まりました。土木学会がその創立100周年を記念した事業の一環として主催しているもので、ここに示されているパネルのように、日本のランドマーク的な建築物がその設計図面とともに紹介されているほか、実物の図面も数枚展示されていました。図面好きの私にはたまらない展示会で、時間つぶしにと思ってさっと通り過ぎるだけのつもりだったところ、ずいぶんと長居をしてしまいました。
CADなど存在しない時代の図面ですので、当然手で人間が描いたものです。達人がその一本一本の線に神経を込めて描いたであろうということが伝わるようです。図面によって、つまりはそれは人によって、ということだと思うのですが、それぞれの個性があることもわかります。
設計者の頭にあるものを、製作者に伝えるためのコミュニケーションの手段というのが図面の第一義的意義であると考えています。そこに求められるのは、わかりやすさ、正確さ、スピード、だと思います。このような存在である図面と絵画のような芸術とは根本的に異なるものだと思うのですが、美しい図面を見るといつも芸術的であると感じます。絵画の巨匠の素描をみると、力強くであったり、軽やかであったり、いろいろな個性がありますが、ども線にも無駄がないと感じます。素晴らしい図面を見ていると、同じようなことを感じるのです。
11月22日土曜(ということなので、本日!)まで開催されています。お近くでお時間のあり、図面が好きという方はご覧になってはいかがでしょうか。このほか、全国各地の本屋さんで図録を入手することが可能とのことです。学会の事業ということもあると思いますが、定価650円+税、というのは良心的な価格設定だと思います。