オマハ(Omaha)といえば、米国の鉄道ファンにとってはなじみの深い街です。UPの本社が置かれていることは言うまでもありません。アメリカの経済に詳しい方であれば、BNSFの経営権を保有するBerkshire HathawayのCEOである、Warren Buffett氏が暮らしている街であるということをご存知かと思います。しかしながら、オマハという街、一般的にはそれほど知名度のある街とは言えないと思います。
そのオマハ、ここ数週間、突然全米で注目を浴びることとなりました。アメリカンフットボール(NFL)の強豪チームである、デンバー・ブロンコスのクォーターバックのペイトン・マニングが、NFLの最終決戦、スーパーボウルに進出するチームを決めるためのプレイオフの最初の試合で、チームメイトに攻撃の指示を伝えるための掛け声の一つとして、「Omaha!」を連発したためです。
私が初めて米国に暮らした年のスーパーボウルの当日、買い物に出かけた家内が帰宅するなり、「こんなに道を車が走っていないのは初めて(注: 皆、自宅でTVでスーパーボウルを見ているため)。お店に行ってもお客はいないし、店員がスーパーボウルに見入っていて全然真面目にレジをしてくれなかった」とぼやいていたのをよく覚えています。
かくも人気の高いスポーツである上、ペイトン・マニングはこれまで圧倒的な成績を残してきた選手です。全米でもっとも有名なスポーツ選手の一人が「Omaha!」を連呼するのですから、大変な宣伝効果があったものと思われます。
これに目を付けたのがオマハを拠点とする企業やオマハの商工会議所です。プレイオフ第二戦でペイトン・マニングが「Omaha!」を叫ぶ度、恵まれない子供を支援するために彼が設立した慈善団体であるPeyback Foundationに800ドルを寄付することにしたそうです。Omaha!は31回コールされ、$248,000が集まったとのことです。もちろん、この企業の中にはUPも含まれています。
デンバー・ブロンコスは、勝利をおさめ、スーパーボウルに進出しました。2月2日(現地時間)のスーパーボウルで、再びOmaha!の叫びを聞くことができるのでしょうか。
ちなみに、このOmahaをどういう意味で使っているかについては、ペイトン・マニングが自身で解説しています。アメリカンフットボールのルールがわかる人はご覧になってみてください。そんな大切な掛け声の本当の意味をこの場で明らかにする訳はなく、要は「なんでもあり」と煙に巻いているだけなのですが、真面目な顔をしてもっともらしく解説しているさまが笑えます。